神変

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令和5年、弘法大師ご生誕1250年を迎えるにあたって

2023年01月06日

つつがなく令和五年の新年をお迎えますこと寿ぎ申し上げます。

昨年は、太元帥大法を厳修する事ができ、世に不安が多くあるなか、歴史と伝統の中、如何に「平和」を願い、祈ってきたかを皆さまに知っていただける機会となったことを嬉しく思っております。

醍醐寺と致しましても、一山をあげて、法流の継承をしっかりできたことを誇りに感じております。

宗内の皆々様には種々ご尽力賜りましたこと改めて御礼申し上げます。

本年は、更に、お大師さまの御誕生1250年の記念の年であります。

お大師様が望まれた、「自然と共にある人類社会」への御教えを今こそ実現に向けて、世界に向けて発信すべき時であると確信しております。

醍醐寺は、醍醐寺初代座主観賢僧正が大師号の下賜を願い出、醍醐天皇が空海上人のご業績を称え、「弘法利生」という言葉の中の「弘法」という二字をとり、大師号をお贈りになられたことから、「弘法利生」という言葉を大切にして参りました。

空海上人は他の命を重んじ、「心の営み」におもむきをおき、人が人を思う心を大切にされ、自分を支える人々への「恩」として教えの柱におきました。

更に、聖宝様は、「実修実証」の言葉のなかに、その実践の大切さを解き、世のため人の為に仏法を学び、実践することを解かれ残されました。

それは、つまり、祈りの原点になっているのが他の命を重んじ、「人が人に対して祈り、命が命に対して祈る」という行為が基本となる、「空」の思想であり、「利他」の実践です。

自然の中で生きる私たちは多くの命とつながり、さらに、過ぎ去った命がなければ今の私達の命もありません。

この命の繋がりに思いを寄せることができる「心」をもつことが、人が生きる意義です。

大きな時代のうねりの中で、自らを見つめ、実践していく姿を共々に目指してまいりましょう。

真言宗醍醐派 管長 仲田順和